地中海に浮かぶ小さな国「マルタ共和国」。イタリア・シチリア島の南に位置する島国で、毎年夏にはヨーロッパ中から多くの観光客が訪れます。
近年日本でも人気が出始めていますが、まだまだ知名度は高くありません。そんなマルタについて、実際に旅行に行ったayanaさんに旅行記を書いていただきました。
もくじ
旅行先にマルタを選んだ理由
マルタを知ったのは、動物写真家の岩合光昭さんがテレビで紹介されていたことがきっかけです。
もともと世界史が好きで、これまでも歴史遺産の充実した国を旅していました。マルタは、首都ヴァレッタそのものが世界遺産であること、聖ヨハネ騎士団の歴史と深い関わりがあり、歴史的建造物が多く残っていることから興味を持ちました。
そのほかにも、以下のようなポイントが渡航の決め手に。
◎治安が良くて英語が通じるところ
◎小さい国なので、短い日数で見どころを回れるところ
◎ヴァレッタ以外にも世界遺産(世界最古の巨石神殿)があるところ
馴染みのない国ではありましたが、よくよく調べると「行ってみよう!」と思えるポイントがいくつもあり、会社の夏休みを利用して旅行することにしました。
マルタ共和国の基本情報
マルタ共和国は、東京23区の約半分の面積しかないとても小さい国。人口はなんと50万人ほどで、東京で言うと江東区の人口と同じくらいです。
かつてはフランスの統治下に置かれたこともありましたが、1,800年のウィーン会議でイギリス領となり、戦後独立。イギリスの影響とすぐ近くのイタリアの影響を色濃く受けています。
アクセス
日本からの直行便はありません(2021年3月時点)。
フランクフルトやドバイ、イスタンブールなど周辺の主要都市からの乗り継ぎが必要です。フライトの組み合わせにもよりますが、乗り継ぎ含め20時間程度を目安にみておくとよいと思います。
治安について
ヨーロッパ有数のリゾートであり、全体的に治安が良く明るい雰囲気です。
英語圏の留学先として単身渡航する学生も多く、旅慣れていない方にもおすすめです。
ただし、様々な国から観光客が訪れているので、現地の人というよりは、旅先で羽目を外している集団には注意が必要だと感じました。
言語について
公用語はマルタ語と英語です。
ほとんどのシーンで英語が通じますが、いわゆるアメリカ英語とは違ったマルタ特有のイントネーションがあるようでした。
また、スーパーにはイタリア産の食べ物も多く、イタリア語も街のいたるところで見かけました。
食べ物について
地中海の島国であるため、新鮮なシーフードがたくさんあります。
また、ピザやパスタのおいしいお店が多く、日本人にとっても受け入れやすい食文化の国だと思います。
代表的な食べ物には、パスティッツィ(リコッタチーズや豆を詰めたパイ)やホブズ(パン)などがあります。
主要観光地や夜の街について
いちばんの見どころは、世界遺産の街ヴァレッタです。
蜂蜜色の「マルタストーン」でつくられた街並みが、重厚な中世の世界観をいまに伝えています。メインストリートから程近い場所に、聖ヨハネ大聖堂や騎士団長の宮殿があり、徒歩で十分に観光スポットを回ることができます。
そのほかにも、「静寂の街」として知られる古都イムディーナや、朝市で賑わう漁港マルサシュロックなども人気の観光地です。
日数に余裕がある方は、ゴゾ島・コミノ島へのツアーもおすすめです。
特にゴゾ島では、世界遺産の巨石神殿・ジュガンディーヤ神殿のほか、アズールウィンドウ(風と波の浸食によるアーチ型の断崖)やソルトパン(塩田)など、マルタ島とは違った自然の絶景を楽しむことができます。
歴史はそこまで…という方でも、リゾートやグルメなど目的に合わせた幅広いプランニングが可能です。
ちなみにヴァレッタには夜営業している飲食店もありますが、観光客向けの施設や商店の多くは夕方に閉まるので、日本の繁華街のような賑やかさはありませんでした。
ナイトスポットは、別のパーチャビルという地域のほうが有名ですので、繁華街を楽しみたい方はそちらも探してみてください。
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6泊7日マルタ旅行記
それではここからは、実際の写真なども交えながら私のマルタ旅行記を紹介できればと思います。
私は、会社の夏休みに有休をつけて6泊7日で行ってきました。飛行機とホテルのセットプランで、現地の行動は基本的にフリーです。
島などの行きづらいところは、一部オプショナルツアーに申し込んで観光しました。オプショナルツアーはVELTRAから申し込みました。旅程は以下のような感じ。
メインはマルタですが、今までイタリアに行ったことがなかったので、マルタから船で2時間のシチリア島観光も旅程に組み込みました。
費用は、2つのオプショナルツアー込で30万円弱 です。ツアーは朝早くに移動するため、全体的に詰めすぎず余裕を持ったスケジュールにしています。
旅行初日は夕方にホテルに着いたため、2日目から本格的に動き始めました。滞在先の補綴はコリンシアホテル セントジョージズベイというところです。
2日目
2日目は、午前中に漁港のマルサシュロックに行き、午後はヴァレッタへ向かいました(メインストリートは別日に観光)。
マルサシュロックでは、朝市で買物をし、昼食は地元のレストランで新鮮なシーフードを堪能しました。
午後は、行きたい気持ちを抑えられずにヴァレッタに行きましたが(笑)翌日に備え、観光はアッパーバラッカガーデンのみにして早めにホテルへ戻りました。
3日目
3日目は、オプショナルツアーに参加し、イタリア・シチリア島を代表するリゾート地タオルミーナとエトナ火山へ行きました。
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海を見渡せる小高い丘に位置したタオルミーナでは、美しい街並みや本場のイタリアン、また映画「ゴッドファーザー」にちなんだお土産・ショッピングを楽しむことができました。
4日目
4日目は、いよいよ世界遺産の街ヴァレッタへ!
聖ヨハネ大聖堂や騎士団長の宮殿の見学のほか、たっぷり時間をとってリパブリック通りでのショッピングやグルメを満喫しました。
TVで紹介されていた、花びらのような盛り付けで有名なジェラート屋さん「Amorino(アモリーノ)」にも行くことができました。
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5日目
5日目は、この日もオプショナルツアーに参加し、マルタから船で30分弱のゴゾ島観光に行きました。
観光タクシーで英語のドライバーさんに相談しながら、ジュガンディーヤ神殿、ソルトパン、チタデル城塞など主要な観光スポットを効率よく回ることができました。
昼食はドライバーさんオススメのレストランで魚料理を、ソルトパンではお土産に塩を購入しました。
6日目
6日目は、前日の疲れがあったので、遠出せずにホテルの周辺を散策しました。ショッピングセンターでお土産を買ったり、帰国に向けて荷造りをしたり…最後の1日をのんびり過ごしたのち、帰国の途に就きました。
行ってみて分かった、マルタの魅力と注意点
約一週間の滞在でしたが、マルタの魅力は、なんといってもその独特な歴史・自然が織りなす絶景の数々です!
特に、世界遺産の街ヴァレッタは、街全体を取り囲む城壁や砲台、砦の構えに、戦いの歴史がまざまざと目に浮かぶようでした。
城や遺跡の区画だけでなく街全体が堅牢な城砦となっているさまは、これまでに見たことのない、また、どこにも似ていないと思わせられる不思議な風景でした。
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RPGの世界に迷い込んだような、非日常的な感覚にゾクゾクしたのを覚えています(笑)
メディアでは街の全景が取り上げられることが多いですが、カラフルな出窓「ガラリア」や海へ繋がる坂道など、ヴァレッタ旧市街のどこか懐かしい、情緒あふれる風景も見どころだと思います。
ヴァレッタ以外では、地中海の透明度が魅力のスポットをぜひ訪れていただきたいです。
漁港マルサシュロックの、鮮やかなブルーの海に色とりどりの小舟「ルッツ」が浮かぶその光景は、まさにフォトジェニックそのもの!
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そのほかにも、ゴゾ島では、海沿いに続くソルトパン(塩田)や赤い砂浜が有名なラムラ湾などの絶景を見ることができます。
郊外への観光は不便なところもありますが、全てがとにかく美しいです…!
ガイドブックの写真などをみて期待値高めで行ったのですが、がっかりすることは一切なく、むしろ想像を超える絶景に感動の連続でした!
歴史と自然の両方を満喫できるところが、マルタ旅行最大の魅力だと思います。
あとは、完全に個人の嗜好の話ですが、スーパーで売られているオリーブとクラッカーにハマりました(笑)
オリーブは実の鮮度や塩加減が絶妙で、ほぼ毎晩ホテルで食べていました。クラッカーも、バジルトマト味などイタリアンな味付けのものが多く出回っており、お土産用にいくつか購入したのですが、全部自分で食べてしまいました(また食べたい…)
ガイドブックで調べたレストランに行くのも良いですが、疲れた日には、スーパーで買ったオリーブとクラッカー、そしてマルタビール「CISK(チスク)」で乾杯!なんて日もあってもいいかなと思います。
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マルタに行く時の注意点
そんな魅力あふれるマルタの旅ですが、渡航前には以下の点に注意してください。
・バスが時間通りに運行していない
・夏場は日差しが強く、熱中症対策が必須
・猫が思ったほどいなかった(夏だったから?)
たまたまかもしれませんが、いつまで経ってもバスが来ない…ということが旅行中何度もありました。
また、バスは停車駅が多く、観光地間の移動で1時間以上乗車することもしばしば。複数人で行かれる方は、思い切ってタクシー移動と割り切るのもアリだと思います。
旅行日数に余裕がない方は、ぜひアクセスの良さを重視してホテルを選んでみてください。
マルタで絶対いくべきところ
歴史好きでなくても、ヴァレッタの聖ヨハネ大聖堂や騎士団長の宮殿は必見です!
特に、聖ヨハネ大聖堂は、これほどまでに金が散りばめられた、豪華絢爛な聖堂も珍しいかと思います。騎士団の潤沢な資金による芸術品の数々に、圧倒されること間違いなしです。
ちなみに、ヴァレッタに行かれる際は夕暮れどきをおすすめします。
夕暮れどきは、蜂蜜色の「マルタストーン」の建物が夕日に照らされ、映画のワンシーンのようなノスタルジックな世界に浸ることができます。
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写真を撮るにも絶好のタイミングですので、晴れた日の夕方を狙ってみてください。
また、マルタ島だけでなく、ぜひゴゾ島観光にも行っていただきたいです。
私が印象的だったのはソルトパン(塩田)で、塩田そのものと、崖の中腹にある洞窟のような外観のお店があるだけのスポットなのですが、その牧歌的な風景がずっと心に残っています。
昔ながらの方法で塩を取られているご家族の伝統的な営みや温かさがすごく素敵で、お土産にそちらの塩を購入しました。
マルタはこんな人におすすめ
英語が通じて治安も良いので、女性同士の旅行に安心です。
全ての人におすすめしたいですが、歴史好き・絶景好きの方だとより一層楽しめるかと思います。
個人的には、「ヨーロッパは一通り行き尽くした」というベテランさんに、ぜひマルタ独特の世界観を感じていただきたいです!!